龍谷大学 法学部  創設40周年のあゆみ

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学生法律相談部

龍谷大学学生法律相談部のこと

学生法律相談部部長 池田 恒男

法学部特有の課外活動学生サークルとして龍谷大学学生法律相談部がある。1968年、法学部創設と同じ年に故・谷口知平先生の主唱によって設立され、以来学期に週1回、法学部の主として民事系の先生方のご助力を得ながら、京都内外の市民からの法律相談業務にあたり、現在に至っている。現在の学生部員39名を含め、創立時からの学生部員総数は370名を数える。その活動ぶりについては、名津井前部長が約3年前に書かれた「龍谷大学学生法律相談部の活動」(『白色白光』第7号20〜21頁(2005年))という文章があり、主として学生への紹介を念頭に置いて平明に活写されているので、それを参照されたい。以下は、やや異なった角度から学生相談部の現在抱える問題の一面を紹介したい。

法律相談活動は、学生サークル活動としては特異な位置にある。それは、法学部の専門性からいって学生の課外活動にうってつけの活動に見えるが、他方、市民の生命・身体を含む人格と財産の帰趨に関わる極めて重い業務であって、それゆえに業として不特定多数の市民を相手に行うのは一般的に禁じられ、弁護士(及び一定の節度は要するが司法書士)等の法律プロフェッション職にのみ許されているので、これを法律知識は言うに及ばず、公教育の最終課程に身を置き、人生豊かな大人からの相談に応じられる人格的陶冶も十分でない学生が行うのはそれとして問題があり、それゆえ、法学部という専門学部を抱える大学が責任を負う形ではじめて成り立つサークル活動だからである。

そこで、自分が学ぶ法学を社会に還元すると共に、書物の上からではない生きた現実から法を学びたいという学生諸君の熱意と向学心を支える仕組みとして、本学の法学系とりわけ民事法系の教員の全面的な協力と助力がその活動全般および毎回の法律相談で欠かさず行われてきた。これは、上記の質をもった社会的使命に照らせば教員にとっては結構な負担であり、それを確保する仕組みとして法学部が全力を挙げて支援する仕組みを必要とし、学生サークルでありながら法学部内に(法科大学院設立後は同大学院も含めた両教授会横断組織として)学部長を責任者とする会議と運営規程とが設けられている。

実際、歴代、法学部教員が勤めるこの学生サークルの部長職は、他の団体が大学の課外教育を担うという意味において教員が勤めるとのは自ずと違った意味をもつ。初代の谷口先生をはじめ、森孝三、安武敏夫、小畑雄治郎といった諸先生、そして近年の川角由和、名津井吉裕の両教授に至るまで、法律相談業務のもつ重大な社会的位置・意義と課外教育の一環としての学生の自主活動性との溝を埋めるための並大抵でない努力が注がれてきたことであろう。

学生法律相談部は、こうした、ルーティンの活動のほか、関西地域の各大学の学生法律相談サークルと横のつながりを持ち、学生法律相談特有の問題を他の学生団体とともに考えたり、合同で事業を行ったりしている。「関西法律相談部連絡協議会」(旧「関西十大学法律相談部連絡協議会」)というのもその一つで、記録に残る限りでは1982年以降、毎年1回、情報交換し討議して活動上の問題点を点検し、検討しあっている。また、他校との交流合同法律相談を開催したこともあり、最近の例では2005年高槻市で行った関西大学との合同法律相談がある。

また、毎年各地で開催される法学部の移動法律相談では、概ね2日という短期間に迎える数十名の相談者を効率的に捌くための実務の支えと相談に応じられる教員の陪席に学生法律相談部が総力を挙げて協力してきた。

こうした学生法律相談活動は、多大なエネルギーと教員・事務職員双方の並大抵でない助力を欠かせないものであり、法学部にとっても相当な重荷であることは事実であるが、それでもなお灯を絶やさずやってくることができたのは、法学という学問領域を専門とする法学部の研究・教育の両面にとっての有用性、見方によっては必要不可欠さにその鍵を見出すことができるように思われる。初代部長の谷口知平先生は、生前、学生相談活動について常々次のようにおっしゃられていた:「法律相談はありがたいものです。いろいろなナマの事実が聞けて、よくよく考えさせてもらえます」。実用法学にとって紙の上の論議だけでは到底真実が見えてこないことを、法学の奥義を究め語学をよくして各国文献を渉猟された先生だからこそ、誰よりも実感されての感想であろう。

そのような学生法律相談であるが、最近は相談件数の減少に悩んでいる。これは何も龍谷大学に限ったことでないようで、上述・「関西法律相談部連絡協議会」の昨年(2007年)のテーマは、相談件数の減少と新入生の確保とであったという。龍谷大学においても、1980年代後半からのデータが残っているが、概ね3桁を数えていたものが一昨年あたりから急減し、ルーティン相談についていえば、05年は99件(但し、合同相談会17件を含む)、06年は62件、07年(昨年)は48件である。

これには様々な要因が考えられる。司法改革の一環で、弁護士会の無料法律相談が抜本的に強化され、法テラスという組織もできたし、龍大独自の問題としては大学に掲げられた看板が目立たない位置に移動し、あるいは東門から撤去されて、広報能力が減少したことも一因ではないかと考えられている。あるいは法科大学院時代を迎え、教育上の見地からの学生相談といっても相談能力の点で学部学生は世間の方で物足りなくなってきたのかもしれない。

法学部学生法律相談活動は諸環境と状況の変化によりそのあり方等についてそろそろ抜本的に検討し直す時期が迫ってきたのかもしれない。

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